今わの際に残したい

そんなわけない、死んだあとインターネット・タトゥーとしてひっそり残り続けるオタクの記録。

【ネタバレ注意】『映画刀剣乱舞~黎明~』感想へっし〜もっとレッツエンジョイ東京してくれ。

 

ついに観た映画刀剣乱舞黎明。
気持ちにリキ入りすぎて、4DXをチョイスしてしまったので妙な余韻がまだ尻に残っているが、アレコレ言いたいことがありすぎて、取り急ぎまとめようと思う。

 

※※以下はネタバレと個人的感想です。未視聴の方や苦手な方はスルーください※※

 

クリアカードは長義

 

前評判とティザーの感じからして、若干薄目で見ていたところもあったが、気持ちとしては全然リピあり。ただ本作を一言で言うと、オタクの私は映像で歓喜(特にラスト)。設定と脚本は、初心者向けで誰もが一度は考えたことのあるようなものだった。いやめっちゃ下げるじゃん。そう、内容に関しては正直ツッコミどころ満載。金かけた分色んな方面からの要望が反映されちゃったかな?と変に勘繰っちゃうほどである。
とはいえいいところももちろんたくさんあって、のちほど良かったポイントを述べるからちょっと待っててほしい。

 

なんかよくわからんけどみんな無事でなにより…?

もとより原作のないとうらぶ君。そりゃオリジナルキャラの一つや二つ、設定の一つや二つで今更ガタガタ言わない。とは言ったものの、今回流石に投げっぱなしがひどすぎるんじゃないか??当初ティザーを見て、「ふむふむ今回は平安京が舞台なんですね。…え?酒呑童子安倍晴明も出る?四天王も!?え、なんだって!?本当の舞台は現代!?JKと謎のフード男とギャルとうだつの上がらない役人と強キャラそうな神主も!?一体どう繋がるんだ…!」とワクワクしていったらあんま繋がらなくてそりゃそうだわな、という感じであった。ある意味では予想通りではあった。とはいえ、前情報もなくこれを観に行ったらあまりの回収のなさに、がっかりする人の気持ちもわかるのだ。「オリジナル設定に手ェ出すなら終いまでやれ」と隣に座ってた鎌爺も怒ってた。
そもそもオタクは一度はこれを妄想してると思うんだ。送り迎えをしてくれる堀川国広とか、古典や芸術を教える歌仙兼定とか、現代を共に過ごす系の設定は一周回って懐かしさすら覚えた。実際こういう系の二次創作もたくさん出てるし。にしても、ここにきてそっち振っちゃったか〜〜という感じは否めない。現代にした時点でこうなることは薄々わかってたので仕方ないっちゃ仕方ないのかもしれないが。
さらに、各主の出演バランスが極端に悪かった気もする。誰を軸にするのかなのかもしれないが、一人ひとりパンチが効いてるだけに、出オチ感が否めなかった。出すなら出すで、やはりスピンオフやってでもしっかり描いて欲しかった。はかた号(ギャルと長谷部)をかなり楽しみにしていたが、はかた号は本当に一瞬で終わる。流石にもう少しあってもいいんじゃないか。の割に「へっし〜そういうとこ!」とかギャル主が諌めるシーンもある。「お前らいつからそんな関係に…?も、もう少し詳しく!!」と思うのだ。へっし〜とギャルのシーンもっとくれ。ていうか長谷部にはもっと東京を満喫して帰って欲しかった。109とか入ってMcBEEのギャル服とかを指で摘んで欲しい。長谷部が東京に翻弄されるとこ見たいよ。いや長谷部とギャルはまだいい方である。それどころか政府の役人なんてマジで喋らない。本当に粗茶ですが、くらいしか言わない。美味しい設定のはずなのに、尺の都合が憎い。その割にJKはなにがしたかったのか終始目的がわからなかった。友達大変なことになっているのに、人を殺すんですか!?と急に妙な正義感を働かせたり、モノの気持ちと共に過去が見えちゃったからそうなる気持ちはわからなくもないが、その割に気持ちの揺れ動きが全て急だった。ていうか渋谷大乱闘中に今その話する!?大事な説得のシーンも残念ながら何が言いたいのかよくわからなかった。その役回り山姥切だけで良くなかったか?と感じてしまった。
そして現代なのはわかったが、なぜ2012年なのかも本編では詳しく明かされない。ラストも一番美味しい「未来で待ってる」的な演出も絶妙に物足りない。そして大変申し訳ないのだが、やはりウケを狙ったのかところどころ、なんか鬼滅の刃とかを感じてしまった…(小声)
他の刀剣男士の掘り下げもまあ少ないしなんならちょっと雑だった。あ、これステで学んだやつだ。下手に増やすと置いてきぼりにされる男士が出るって。それぞれが主役級の逸話を持っているだけに一人をカリスマとして置いてしまうとそれ以外と一括りにされてしまう。そしていつも通り、終始本丸が置いてきぼりにされていた。ていうか、ほんとこれ言ってしまえばぶっちゃけ三日月だけでも成立したような気がする。山姥切の裏切りもそこまで当初のティザーと比べると掘り下げられないし、一期一振他、本丸の男士に至っては仲間が急に裏切るわ、審神者が朧げになるわで踏んだり蹴ったりであっただろう。
モノへの思いを抜き取られると、ヒトが放心状態になる理屈もあんまピンとこないし、それで日本が機能不全に陥るのも急な話だなとも思う。

 

 

 

 

とまあここまでボロクソに言っておいて何だが、個人的にはトータル5億点である。
え、ここまで言っといてですか!?はい、これから手のひらドリルします。そもそも「審神者が出ます!しかも主役はJKです!突然山姥切が寝返りわけのわからんヤツ(審神者)のモノになります!」と知った瞬間に、ややシャッターを締めかけていたので、事前評価がマイナスからスタートしており多少上振れした節はある。とはいえ、とにかく絵はめちゃくちゃ良かったのだ。く〜〜これだよ!これこれ!!これが見たかったんだよ〜が終始ずっと続いて楽しかった。ボロアパートの一角で兄弟を見つめる山姥切国広。見た目年齢が一回りも二回りも違うスーツの役人達に頭を下げられる山姥切長義。なにより高速バスに乗る長谷部。構図だけでもう面白い。
そもそも映画に関する舌がバカなので、この手のスケールのデカさが嫌いじゃないのと途中から無駄に壮大な話になるのは慣れている。この手の話、行き着くところはみんな揃いも揃って急に日本(世界)の危機!なのである。ただ大きな危機に立ち向かう彼らは美しいのだ。その様式美を取るのか、スジを求めるのか、まあぶっちゃけあとは個々の好みである(※チート級禁止技)
それにこれは意外にも良いように作用したんだが、各審神者キャストさんの演技力なのか刀剣男士とわちゃわちゃするのが案外すんなりと受け入れられたのだ。多分、これって相当チャレンジングな試みだったんだと思う。「とある本丸」というメディアミックスお馴染みの設定とはいえ、ミュやステでも審神者の明確な姿は出てこない。なんというか他の女性向けゲームの中でもとうらぶはとにかく「審神者=プレイヤー」という構図を守ってしまったため、他の本丸だとしてもこうもはっきり審神者の個性が出ると見る側としてはかなり複雑だ。その中で仮の主という策を取ったのは言うまでもなく上手いと思う。ギャルと長谷部だけでなく、神主と源氏兄弟もめちゃくちゃ良かった。もっと見せろ!となった時点でこれ大成功なのである。
そして刀剣乱舞全体としての方向性が固まりつつあるのも良かった。歴史というのは人々の集合体のはずなのにその"人々"がないがしろにされてるよ!という時の政府君さぁ…なところ。つまり雲行きの怪しさが間接的に浮き彫りになり始めたのは個人的にはかなり面白い。
あとは言うまでもなくキャストさんの演技がえげつなかった。梅津さんの長義の解像度は言うまでもなく、源氏兄弟も極らしく落ち着いていて、でもどこかコミカルで最高でした。佐藤たかみちさん演じる兄者の大雑把なところとか清々しくて大好きだ。そしてなんといっても、ラストうん数分のシーンで全て持ってかれた。ぬお〜〜〜これこれこれこれえ!!!!!!!!現代で戦う刀剣男士、最高である。もうみんな出れるなら映っちゃいなよ!集まっちゃえよ!みたいな豪快さが良い。ここだけもうあと100分いただきたい。どこぞのインド映画のエンディングみたいにエンドロールを有効活用するつもりでその間ずっと戦っててほしい。もしくは長谷部とギャルがバスに乗ってて欲しい。
他にも見どころシーンとしては鞄の中だからか、暗闇の中で薄ぼんやり浮かび上がる三日月宗近が良かった。Queenの『ボヘミアンラプソディ』のジャケ写か?ところどころカットインされる一人ボヘミアンラプソディ状態の三日月は必見だ。徐に斜め上のジッパーを片手で開けるのも非常にオモロかった。あとは長谷部が現代で姿を保てなくてピンチとなっている時にギャルが「なんかへっしー地味になってる!」って言ってて個人的にはツボだった。

 


総評して、贔屓目に見てもストーリーの粗が目立ちすぎたものの、そのスケールのデカさと演技・構図は素晴らしい映画刀剣乱舞黎明。キャラの掘り下げとか物足りなさは一方で魅力的だったことの裏返しでもあるのだ。1週間以内には再び見にいく可能性が高い。人を選ぶ作品だったが、シンプルに楽しかったのだ。

 

 

 


いや〜それにしてもとどまることを知らないな、刀剣乱舞。なんかいい加減なこと言っててもいつか実現しちゃいそうで怖い。
今のうち適当なこと言っとこ。
お〜い、みんなァ!5年後にハリウッド版映画刀剣乱舞やるってよ!とうらぶ人形浄瑠璃もやるし、そのうちUSJには刀剣乱舞ワールドができるよ!
あとさ、今回なんと映画オリジナルの刀剣男士も出てくるんだよ!彼はそのあとすぐにゲーム本編にも逆輸入されるんだよね!ガハハ!

………はぁ、寝よ寝よ。

取り急ぎ。