今わの際に残したい

そんなわけない、死んだあとインターネット・タトゥーとしてひっそり残り続けるオタクの記録。

【スタステ4thレポ】「声優さんだから」はもはや通用しないのかもしれない【後編】

レポにしても感想メモにしても熱量と文量がいささか大きすぎた「あんさんぶるスターズ!!Starry Stage 4th」

自宅参戦であることをすっかり忘れてブチ上がり、後日お隣さんから苦情が来そうでヒヤヒヤしているほど盛り上がった「あんさんぶるスターズ!!Starry Stage 4th」

 

今回はその後編である。

 

前回では、事前に立てたセトリ予想は見事打ち砕かれ、予想のはるか上をいくものだったということ。そして観客とのコミュニケーションが主体というよりもパフォーマンスが重視されたライブなのでは?という点に触れた。

 

kodomoa.hatenablog.com

 

それでも衣装や歌、ダンス、キャスト陣の振る舞いに到るまで「あんさんぶるスターズ!!」の世界を遺憾なく表現していたのは間違いない。

他にも特筆すべきこととしては、増田俊樹さんが欠席し、急遽朔間零さんがサプライズゲストとしていらしていたことだろうか。

あまりに自然だったから皆、彼が増田俊樹ではなく、朔間零だったことには気が付かなかっただろう。

 

それでは引き続き、セトリと共に各楽曲を振り返っていきたい。

※前回同様、以下はネタバレになってしまうので、「円盤まで待つぜ!」という方はご注意くださいませ※

 

 

 

 

 

 

 

8/29(日)day2 セットリスト後半戦

 

⑬Crazy:B 「指先のアリアドネ


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クレビ七変化が見られるイベ曲「指先のアリアドネ

背景がハワイアンズとかの南国で見かけるキャンプファイヤーに変わった瞬間オタクはピンときた。

 

前曲の「Crazy Roulette」が最初期の曲だっただけに新曲であるアリアドネから見れる成長を楽しむのもオツだ。そして、前の曲との温度差である

思ったが、ALKALOIDといい彼らといいどうしてこう悩ましげな曲が似合うんだ。

ルーキーとはなんだったのか。こんな胸元ガバァ開いてても全然いやらしくない。胸を強調させるようなけしからん黒ベルトをこうもスタイリッシュに着こなすのはクレビだけである。

ライブでも、比較的若くて元気要員である椎名ニキ役・山口智広さんと桜河こはく役・海渡翼くんの変貌が凄まじい。

特に山口さんといえば、ニキ同様お料理が得意な声優さんとして知られるが、やはり本業はプロの声優。完全にニキ(セクシーのすがた)が憑依していた。ニキズキッチンの人ではないのである。

 

⑭デッドマンズ 「Death Game Holic」

 

やってくれたな、オイ。

 

デッドマンズといえば学院時代でも遥か昔。まだトリスタどころかえ~ちくんすらトップとして君臨してなかったあの頃。大神晃牙と蓮巳敬人、そして朔間零の三人で結成されたユニットだそうだ。

 

7月のday1、day2でAtoZやらエキセントリックパーティやらなにかしらぶっこんだらしいじゃない、あんスタ君よお。ホント君のそういうところさあ(略)。 

てっきり今回はシャッフルユニットのヴァルカロイドだけかと思ってたら見事度肝を抜かれた。まだ心臓鷲掴みにされてないはずだが、死んでしまった。

 

そして、気だるげな俺零ちゃんを演じる増田さんの隣で、棒立ちの梅原裕一郎を見られるのは今回のライブだけ!

あまりの棒立ち具合に笑ってしまった。やっぱり君は紅月だったのね。

恐らく当時もオラオラ行く二人にどこか乗り切れなさを感じつつも、一生懸命悪ぶったパフォーマンスしていたのだろう。そうと考えるとめちゃくちゃ愛おしい男である、蓮巳敬人。

わたしはたびたび(しつこく)述べている通り、ゲームとしては比較的新参者なので、

「こっ…これが、あの伝説の朔間零地下ライブハウス時代…!?」

と完全にあんスタ世界の新参モブに成りきっていた。

 

⑮Jin&Akiomi 「Rainbow Stairway」


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デデデッデーデ!!デーデッデッデ!!

 

というイントロが印象的なことでお馴染み(?)「Rainbow Stairway」

歌いだしから駒田さん特有の圧の強い歌声が聴けることでお馴染み「Rainbow Stairway」

 

先生ズ二曲目としてはやはりこれは外せないか。まだ若かろうに、何故か若者への応援ソングを歌っている。いや、それほどまでに当時からカリスマ性があったのだろう。

ライブも終盤にさしかかり、この曲を聴くことで不思議とこれまでのアイドル達の軌跡が見える気がした。

 

⑯ALKALOID 「翼モラトリアム」(Acoustic Version)


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アコースティックバージョンでますますエモを高めたエモ曲の権化「翼モラトリアム」

前曲が「Rainbow Stairway」なので、ベテランからルーキーへの流れもどことなく感じられて、オタクは完全に言葉を失った。

 

嘘か真か、公式かオタクの妄想か、ALKALOIDは巽が足を怪我しているからあまり激しいダンスパフォーマンスをしないときいたことがある。そのせいか、ALKALOIDにはこの曲のようにしっとり歌いあげるようなボーカルメインの曲が多い。

アコースティックバージョンになったことでよりキャストさんたちの声や息遣いまでもが鮮明に聞こえたような気がした。

ラスト、一彩のパートではガッくん(梶原岳人さん)の伸びやかな声が会場中に響き渡って鳥肌が止まらなかった。

 

⑰紅月 「薄紅色の約束」


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ALKALOIDの余韻を残したまま、お次は紅月のターン。

個人的に「ヒラヒラ」部分のパフォーマンスが好きで、自宅でもペンラをヒラヒラさせていた。

実はこの曲、紅月の中では百花繚乱の次点で有名だし、さぞライブの定番ではと思っていたら1stではセトリに組まれておらず初披露だそう。

歌いだし「舞い上がれ」から梅ちゃんの本領が発揮されている。

梅ちゃん、あんな涼しそうな顔で伸びのエグいパートもさらりと歌ってしまう。デスゲームでもシャウトしていたが顔色一つ変わってない。おまけに音もブレてなかった。さすがプロ。怖えよ、喉どうなってんだよ…

その涼し気でさらりとこなす実力と言葉の端々から感じる「ああ、きっと努力の人なんだな」といったストイックさを見ているとやっぱり蓮巳敬人はこの人にしか出来なかったんだなとつくづく思った。

 

⑱紅月 「紅月いろは唄」


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めちゃくちゃ待ってたイベント曲「紅月いろは唄」

イベ曲の中ではかなり好きな部類に入るこの曲の良いところは、鬼龍紅郎の”漢”が全面に押し出されているとこ。

MVでもサビでは大股開きで足を前にドン!!っと踏み込むところに、紅郎の重みを感じる。実際ライブでも神尾さんの地底を震わすような力強くも渋い声が会場中に響き渡っていた。

紅郎ちん、こんなますらおぶりなのに、裁縫が好きでメンバーの衣装も担当しているとか文武両道が過ぎる。そして神尾さんもこんな渋くて漢らしいのに、プロのマジシャンでもあり料理も上手だったりと手先が器用なところもギャップである。やはり、先程同様この方も選ばれるべくして選ばれたのだな、と。

 

他にもこの曲の良いところは、いろは唄の持つ「栄枯盛衰要素」「千代に八千代にと永久に伸びゆく紅月」を表現する歌詞に変えて、オマージュしている部分である。

例えば、

色は匂へど 散る気もなく

次の高みへと

我が世誰にも乱せぬと

心に鬼を飼い

*1

この部分や、

有為の奥山幾度も超え

まだ道半ばと

浅き夢など気取らずに

言わせておけばいい

といった部分。

正直、めちゃくちゃかっこいい。

さすが実力派ユニット紅月である。イベント当時も新たな局面にきて伸び悩んでいたものの、自分のユニットの色を貫き通す様から紅月らしさを感じたのだ。

ライブでもこうした紅月の良さが遺憾なく発揮されていた。

 

⑲UNDEAD 「Gate of the Abyss」


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やはり心臓を鷲掴みにしにきたか。

 

アンデを代表する二曲は?と聞かれたら、色々答えは割れそうだが、私はメロダと共にこの曲を選ぶと思う。

ゲームでは無慈悲にも、難易度はレベル30。新たに高難易度の曲が追加されたとはいえ、まだまだMVを見る余裕なんてない非常にアップテンポな曲である。

そしておそらく歌う側にもかなり高いレベルが要求される曲だと推測している。

アンデの特徴なのだろうが、ロック調が多い故テンポの速い曲が目立つ。そして観客のボルテージもあがりやすいからコールアンドレスポンスにも力を入れなくてはならない。

この忙しすぎる名曲を、観客を煽りながらも手は抜かず、きちんとパフォーマンスするアンデのメンバーには毎度惚れ惚れしてしまう。

盛り上げながら、妖艶にパフォーマンスするのって難しいのだ。

 

 ⑳UNDEAD 「Melody in the Dark」


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そして、お次はアンデの原点であるメロダが披露された。

2ndの流れからしても、恐らくこれが最後の曲なんだろうな、とわかるとちょっと寂しくなった。が、そんな悠長なことは言ってられん。自宅でハチャメチャにコールした。

イントロを聴いて気合いを入れ直す曲ってなかなかないだろう。わかった瞬間「あ~そうですか…ほないかせてもらいます」と本田圭佑ばりに目の色が変わる、そんなオタクがわたしの他にも絶対いたはず。

 

というか、これも本当はみんな声出したかっただろうな~キャストの皆さんも聞きたかっただろうな~

そう考えると、今回こうしたレスの多い曲をたくさん持っているUNDEADにとって4th出演ってかなりの挑戦だったと思う。

次は絶対にみんなで「we are UNDEAD」しようね。

 

㉑Knights 「Mystic Fragrance」


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アンデの全力パフォーマンス(主に我々の)が終わってただでさえ少ないオタクのHPは大分減ってしまったが、まだまだ休ませてはもらえない。

お次はKnightsの新曲「Mystic Fragrance」が披露された。

「ウォウウォウウォウウォウ…」のイントロ部分でシャトルランで折り返さなくてはならないあの瞬間を不意に思い出してしまった。

アンデで燃え尽きちゃったオタク、一緒に体力作ってこうな!

 

注目したいのは、キャストコメントの際にKnightsのメンバーも仰っていたが、やはりそれぞれのダンスのこだわり。

特に伊藤マサミさんのバレリーナのようなターン!

わたし自身まったくバレエに造詣がないので、どんなターンか詳しくはわからないがはっきりとせないずが憑依していたことはわかる。

(調べてみたところ恐らく「ピルエットターン」だと思われる)

 

㉒Knights 「Article of Faith」

 

2nd夜公演では、アコースティックバージョンでお披露目された「Article of Faith」

あいにく、朔間凛月役の山下大輝さんがいらっしゃらなかったが、今回は五人そろってパフォーマンスが出来たので嬉しい。山下さんも心なしか嬉しそうだった。

 

この曲の良いところ、たくさんあるとは思うが、個人的にはやはりKnightsを象徴するような歌詞だと思う。

それについても公式にして、最大手である作詞家の松井洋平大先生はこう仰っていた。

 

いやもうホント…その通りだと思います…

開催についても色んな声が上がる中でそれでも声に応えようと、最善を尽くし開催に到った。その事実を堂々と宣言し、象徴するような、そんな一曲だと私も思う。

 

㉓Crazy:B 「Be The Party Bee!」


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ラストはなんとクレビのこの曲!!

個人的にはめちゃくちゃ嬉しかった。なんならちょっと泣いた。

 

というのも、実はこの曲に一年半前のわたしはかなり救われていたのだ。

新生活と同時にコロナが流行し、毎日忙しいのに誰にも会えない。慣れない環境で満足にコミュニケーションも出来ない。そのことに実際かなり参ってしまっていた。

まさしく毎日が灰色で、日常に殺されかけたわたしをこの曲が代弁し救ってくれたのだ。

 

さらにわたしはイベストを読んで、天城燐音に関しては

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こんな感じで、かなり重ための、ドン引き待ったなしの感情を持っていた。

何を言っているかわからないだろう。実は一年経った今見返したわたしもそこまでわかってないのが恐ろしい点である。

実際問題このグループの闇は深く、そんな彼らがこんな明るく人を元気付ける曲を歌っているのは胸に迫るものがある。

 

確かにイベストでは卑怯な戦術で他のユニットを次々と陥れた。ヘイトを集めるためとはいえ、傷つけられたファンがいたのは間違いない。そんな人達からしたら、この曲はさぞ投げやりで、刹那的な快楽主義者の歌に聴こえたと思う。

 

でも、投げ出したりすることって実は大切だ。煮詰めすぎると、人はどこまでも追い詰められる。そのことを知ったわたしにとってこの曲はほどよく世の中と上手くやっていくことを教えてくれた。

 

最後の最後に、「このイベントは終わっちゃうけど、また嫌な日常がくるかもだけど、せめてこの瞬間だけはハッピーであれ!」という思いも伝わったような気がした。

 

アンコール「Walk with your Smile」


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全ユニットのパフォーマンスが終わり暗転する会場内。

そこからしばらくして、本来だったらアンコールが聞こえる筈の静かな会場にいくつもの、薄オレンジの光が天井へと昇っていった。

ちなみにめちゃくちゃ感動的な演出にも関わらず、なんかチームラボみたいだな…と察しの悪いアホなわたしはぼんやり思っていた。

 

「あ!?この演出はもしや…!!」とやっと気が付いた頃には、全メンバーがステージに登場。

イベントを走るためにうん千回は聞いたであろうあの優しいイントロが流れていた。

 

声量の問題なのか、途中全員下ハモを歌い出した時はちょっと面白かった。

 

キャストコメント→「FUSIONIC STARS」→「BRAND NEW STARS!!」


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アンコールまで終わったところで、初めて全キャストが集合。キャストコメントのコーナーに移った。

クレビのキャラMCと合わせるとわずか二回しかない本公演のMCを、J&Aの駒田航さんと樋柴智康さんが務めた。数分ずつとはいえ、全ユニットの感想を聞けるのは正直、待ってたと言わざるを得ない。

和気あいあいとしたコメントの中で、しきりに述べられていた「スタッフをはじめとした運営の皆さんがいてこそ4thが無事成功した」という言葉に「ああ、本当に難しかったんだな」と改めて実感した。

笑顔のパフォーマンスの裏で、この時期に開催することへの不安と常に戦っていたのだな、と。

その流れで「FUSIONIC STARS」と「BRAND NEW STARS!!」を聴くとまた意味が違ってきこえた。

ちなみに、関係ないがValkyrieは今のところ1stから全通らしい。全通らしさがうかがえるトーク力で会場のしっとり具合を全てかっさらっていった。おい、あんスタの格式担当。それでいいのか。

 

「声優さんだから」はもはや通用しないスタステ4th

アイドル声優」という言葉がなんとなく苦手だった。

もちろん今の時代、声のお仕事だけでなく「歌って踊れる」はマストで、トーク力やビジュアル等でお仕事内容が多岐にわたっていることは確かだ。声優さんの多彩さを表現した言葉であることは間違いないし、そうした実力を評価した言葉だとは思う。

こうした言葉はアイドルをテーマにしたゲームやコンテンツが増えてきたことによって余計耳にするようになった。

 

でも、たびたび週刊誌などで使われるのを見て、この言葉の裏には「アイドルぶりたい声優」、「ちやほやされたい声優」といった一種の小ばかにされたニュアンスを感じていた。「どっか勘違いしてない?」とうがった視線をも時には感じていた。

わたし自身、自宅等で、ファンでも何でもない人達の目の前でライブ配信やDVDを見ることがある。その時、本業ではない彼らのパフォーマンスは必ずといっていいほど比べられるのだ。時には、「見てて恥ずかしい」とか「見るに堪えない」とか、結構傷付く言葉も投げかけられる。

その際、わたしも恥ずかしさから「いや、声優さんだから。本業は声のお仕事だから」とフォローでもなんでもない言葉を投げかけてしまっていた。一生懸命やっているにも関わらず、そんな彼らを自分も応援しているにも関わらず。

わたしも心のどこかでパフォーマンスについては、彼らと本業のアイドルを比べていたのだろう。

 

しかし、このライブを見て、わたしはこれまでの「いや、声優さんだから」と言っていた自分を恥じた。

誤解を恐れずに言ってしまえば、彼らは全力で「アイドルのふり」をしているのである。

その目的は、決して自分達がアイドルになることではなく、ファンから愛され応援されるキャラクターを演じることだ。そうした意味では彼らがやはり役者であることは間違いない。

 

「あのキャラクターだったらどう動くだろう、どのようにファンサして、コメントして…」たとえ、台本があったとしても一挙一動まで意識して寄せていくのは並大抵のことではないのだ。

加えてこの状況で一人でも多くの人に楽しんでもらうためには、考えることも人一倍多かっただろう。

そうした意味では自分自身をコンテンツとするアイドルとはもう一段階難しいことを成し遂げている。もちろん、別にどちらが優れているとかそういう話ではない。

 

その中で無事4公演全て終えることができた「あんさんぶるスターズ!! Starry Stage 4th」

確かに本業のアイドルによるライブとは少し在り方が違うかもしれない。

でも声優さんもファンである自分たちも、この「あんさんぶるスターズ!!」というコンテンツを共に作り上げ、応援しているんだという一体感は、まぎれもなく「アイドルによるライブ」だったと言えよう。

 

そうした意味では、「アイドルとは何だ?」を「ズ!!」へ移行後、メインストのテーマにしたあんスタ君に答えが出されたような気がする。

 

というわけで、4年後まで運営スケジュールが決まっているらしい「あんさんぶるスターズ!!」

手堅いコンテンツとしてその実力を遺憾なく発揮し見せつけられた公演であったことには間違いないだろう。その動向にますます目が離せない。

 

お読みいただきありがとうございました!!

*1:出典:歌ネット https://www.uta-net.com/song/299846/

以下他の歌詞も同様にこちらのサイトから引用しております